販売店に陳列された竹箒を観察して、枝の部分にカマキリの卵嚢が見つかりましたら、卵嚢つきの竹箒をご購入のうえお持ち帰り下さい(購入代金は後に主宰者がお支払いしますので、レシートの保管をお願いします)。その際にもし可能であれば、卵嚢が付いていないものを含め、同一商品の竹箒が何本陳列されていたかをメモしておいていただければ一層助かります。どの程度の割合で卵嚢が付着しているのか気になるためです。「販売店の竹箒を探したが、1本も卵嚢つきのものが見つからなかった」という情報も重要です。その場合も、竹箒の商品名や輸入・製造業者名をお控えのうえ、次の「2.」の手順に従って情報をご提供ください。
ここまでの注意点として、販売店の敷地内ではスマホ等で画像を撮影しないで下さい。また、竹箒の内側の枝にも卵嚢がついていないかを確認しようとして、枝をほじくったりビニールカバーを剥がしたり、縛ってある紐を解いたりしないで下さい。販売店のご迷惑なるような行為は一切行わないで下さい。
輸入品の竹箒の調査
1. 卵嚢の探索
はじめに
ムネアカハラビロカマキリは比較的近年になってから日本で確認された種で、外来種であることが疑われています。主宰者とその共同研究者のグループは、本種の全国の分布状況や生態の把握、遺伝解析などによって、国内の本種の個体群が移入されたものであるのか否か、他の生物との間にどのような相互作用があるのか、調査を進めています。
現在、海外で製造されて日本に輸入される竹箒(たけぼうき)のなかには、カマキリの卵嚢が付着しているものが散見されます。その卵嚢の多くがムネアカハラビロカマキリのものに酷似していることから、仮に日本国内のムネアカハラビロカマキリが外来種であった場合に、輸入品の竹箒が本種の移入に寄与しているのではないかという可能性が考えられています。カマキリ分布調査では、全国のホームセンターなどの量販店や個人商店で販売されている竹箒を調査し、卵嚢の付着状況を調査しています。また、見つかった卵嚢を主宰者のもとへ収集し、種の同定を行っています。ハラビロカマキリ属はカマキリ目のなかで最も種数が多く、竹箒の主な生産地になっているような国だけでも10種以上が分布しています。また、日本で見られるムネアカハラビロカマキリの卵嚢と、外見上の判別が極めて困難な卵嚢の形態を持つ別種が確認されています。そのため、竹箒から見つかった卵嚢の同定には慎重を期しています。
本件はカマキリ分布調査の他の項目とは異なり、調査場所は野外ではなく市井です。そのため、販売店や他の人々の迷惑にならぬよう、細心の注意を払って調査を行う必要があります。以下の手順に従って、調査にご協力いただくようお願い致します。
卵嚢つき竹箒の詳細な情報を主宰者にお知らせ下さい。情報提供の方法は、AとBのいずれかをご選択下さい。
A. タグ付きツイート
他のカマキリ分布調査(こちら)と同様に、卵嚢つき竹箒が確認された場所(〇○県○○市までの情報で、 それより詳細な情報は記載しない)と年月日の情報をタグ(#カマキリ分布調査)付きでツイートして下さ い。後日、主宰者が返信致します。画像の掲載は必須ではありません。竹箒を購入した販売店および製 造・輸入業者などは絶対に記載しないで下さい。これらの特定に繋がってしまう可能性があるため、竹箒 のラベルの画像もツイートで公開しないで下さい。
B. ツイッターのDMあるいはメール
この竹箒の調査は、カマキリ分布調査の主宰者2名に加え、大阪市立自然史博物館の松本吏樹郎学芸員の ご協力により進めています。以下のいずれの連絡先宛てでも結構ですので、直接ご連絡をいただき、情報 をご提供いただければ幸いです。後述の通り、松本学芸員のもとでは竹箒の直接の持ち込みも受け入れて おります。関西地方に在住の方で大阪自然史博へのアクセスが容易な方は、松本学芸員にご連絡をいただ いた方がスムーズかも知れません。
[主宰者]
ツイッターアカウント…こちら
メールアドレス… mantodejp(アットマーク)gmail.com
[松本学芸員]
ツイッターアカウント…こちら
メールアドレス… rikio(アットマーク)mus-nh.city.osaka.jp
2. 情報の提供
意図的にも非意図的にも、生物はヒトの経済活動に伴って移動します。自然物で製造されている竹箒やその他の竹製品には、恐らくカマキリに限らず様々な節足動物やその残骸が付着しているはずです。調査にご協力いただくことで、その実態を垣間見ていただければ幸いです。この調査はカマキリ分布調査の他の項目とは異なり、街中で、日常生活の中でできるものです。ぜひ多くの方々に興味を持っていただければと考えております。
この調査の目的は竹箒を介したカマキリの移動の可能性を調べることです。その結果として何らかの知見が得られた場合に、推奨される管理方法を広くご提案する余地はあったとしても、特定の販売店や輸入・製造業者を問題とするようなものであってはいけないと考えております。その点は皆様にも十分にご理解いただいた上で、純粋に調査としてお楽しみいただければ幸いです。
おわりに
3. 卵嚢の送付
主宰者らとのメッセージのやり取りが完了しましたら、竹箒についていた卵嚢をこちらへご送付いただければ幸いです。調査のうえで竹箒そのものは必ずしも重要ではないため、ご提供者の皆様のもとで使われる余地がございましたら、お手元に残していただいて結構です。竹箒がご不要であれば、卵嚢がついたままの状態で竹箒ごとご送付下さい。送料を着払いの上でお送りいただければ、代金はこちらでお支払い致します。詳細な手順はメッセージのやり取りのなかでご説明させていただければ幸いです。